群れを率いるシルバーバックのゴリラがいかに男前であるかという話は何度も何度でもお伝えしている。生まれ変わったらシルバーバックゴリラの嫁になりたい。ナンバー3ぐらいでいいから…という話も折に触れてお伝えしているかもしれないが、そこはスルーしてもらってもかまわない。
筋肉質な身体を持つゴリラは、屈強なだけでなく手話で人間と意思の疎通ができるほど知能が高く(関連記事)、心やさしい生き物(関連記事)だ。
そのことを裏付ける新たなるストーリーがまた届いた。
体重が200kgもある立派なシルバーバックのゴリラが、体重がわずか200gしかないブッシュベイビー(ショウガラゴ)と仲良く遊んでいるのだ。
アフリカで類人猿の保護活動をしている団体、「エイプ・アクション・アフリカ」は、カメルーンのメフーでサンクチュアリを運営している。ここでは、保護されたゴリラやチンパンジーなど、300頭以上が暮らしているのである。
サンクチュアリの職員が朝のチェックのために巡回していたところ、ゴリラのボボがブッシュベイビーと遊んでいるのを発見したのだ。
ボボは、2歳の時に密猟者に母親を殺され、保護された。
20年以上経った現在では、このサンクチュアリでもっとも有力な、シルバーバックのオスである。シルバーバックとは、13歳を超えたオスの背中の毛が鞍状に白くなる現象だ。
image credit: Ape Action Africa/Facebook
大親友はとても小さなブッシュベイビー
ボボと遊んでいたブッシュベイビーは、ショウガラゴという小型のサルの一種だ。アフリカ大陸の赤道付近、北側の一帯に生息している。夜行性で大きな目と耳を持ち、その呼び名の通り、樹林の枝の間で生活している。
夜行性であるブッシュベイビーを見かけるのは稀なことらしい。このブッシュベイビーは、いつの間にかサンクチュアリ内の林に住み着いていたのだろう。
image credit: Ape Action Africa/Facebook
千倍の差があっても友情が成立したのはやさしさにふれたから
さて、ブッシュベイビーの体重は約200gだが、約200kgと千倍もの体重があるボボを全く恐れていなかった。ちなみに、人間と象の体重差は百倍前後であるからその差のすごさがわかるだろう。(関連記事)。
小さなブッシュベイビーは、近くの草地からボボの腕によじ登り、楽しげに遊んでいた。そしてボボは、最大限の注意を払ってブッシュベイビーを優しくあやしていたのだ。
image credit: Ape Action Africa/Facebook
傷つけぬよう群れの誰にも触らせないボボ
ボボの群れのゴリラたちも、ブッシュベイビーに対して非常に興味を持っていた。特にボボのお気に入りであるメスのアヴィシャイは並々ならぬ興味を示していたのである。
だが、ボボは誰にも小さな友達を触らせなかった。近くで見ることは許したが、友達が遊ぶ邪魔をしたり、悪気はなくともうっかり傷つけてしまうかもしれないことは許さなかったのである。
image credit: Ape Action Africa/Facebook
そうやって2時間ほど遊んだ後、ブッシュベイビーは、ボボに送られて自分の住処へ帰っていった。ボボは二本の脚で立ち上がると、ブッシュベイビーを高い木の枝にのせたのである。
image credit: Ape Action Africa/Facebook
カメルーン最大のサル、ゴリラのボボと、最小のサル、ブッシュベイビーの間に、ちょっと変わった友情が花開いた。
しかし、それもボボの気配りあってのこと。ボボは、その大きな身体に見合って大きく、また繊細で優しい心を持っていたのである。
やっぱゴリラのシルバーバック、男前だわー。
こんなの惚れるしかないじゃないのもうどうしようなんだわ。